2021年11月30日、経済産業省と外務省との連名により、「日本企業のサプライチェーンにおける人権に関する取組状況のアンケート調査」の結果が発表されました。
2020年10月に策定された「ビジネスと人権」に関する行動計画(NAP)において、政府は、その規模、業種等にかかわらず、日本企業が人権デュー・デリジェンスを導入することへの期待を示していました。本調査は、行動計画のフォローアップの一環として、企業の取組状況を把握することを目的に実施されたものです。
売上規模が大きく、特に海外での売上が全体に占める割合が大きい企業ほど人権デュー・デリジェンスによく取り組んでおり、基礎項目の実施率も高いことは、昨今の欧州やアメリカ、オーストラリアでの人権デュー・デリジェンスの法制化への対応の結果と見てとることができます。
その一方で、人権デュー・デリジェンスを実施していない企業からの回答では、その理由として、3割強の企業が実施方法が分からないこと、また3割弱が十分な人員・予算を確保できないことを挙げており、人権デュー・デリジェンス実施にあたるリソース不足を示唆しています。
人権デュー・デリジェンスを実施している企業から、人権尊重経営を実施した結果得られた成果として、83%の企業が自社内の人権リスク低減を、82% がESG評価機関からの評価向上を挙げており、以下、70% がSDGsへの貢献、同じく70%がサプライチェーン上の人権リスク低減と回答していることから、人権デュー・デリジェンスを投資と位置付ける考え方が求められます。また、実施方法を模索している企業は、NGOとの対話など専門家との意見交換から始めることや、各業界におけるプラットフォームへの参画などを通して、業界特有のリスクを知ることから始めることも有効かと思われます。
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アンケートの詳しい概要、結果はこちらをご覧ください。
日本企業のサプライチェーンにおける人権に関する取組状況のアンケート調査結果:https://www.meti.go.jp/press/2021/11/20211130001/20211130001.html
企業の人権デュー・ディリジェンス実施について―日本の状況:
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